解体を控えた現場で、知り合いの職人さんが手がけた塗物やさまざまな材料を、数名で協力して運び出してきました

先日、解体を控えた現場で、知り合いの職人さんが手がけた塗物やさまざまな材料を、数名で協力して運び出してきました。大切な作品が失われる前に、一つでも多く救い出したいという想いからです。


そのとき目に留まったのが、割れたり折れたりして使えなくなってしまった刷毛(はけ)たちでした。見た目はボロボロでも、長年職人さんの手元で活躍してきた道具。かつての輝きを取り戻せるかもしれない――そう考え、修繕に挑むことにしました。

傷んだ部分をそっと取り外し、新しいパーツを用意して、丁寧に取り付ける。手間も時間もかかりますが、「また使える道具」に生まれ変わる瞬間は格別です。

職人さんが幾度も手にしてきた記憶が宿る刷毛が、再び息を吹き返す様子を見ると、道具に宿る“魂”のようなものを感じずにはいられません。

使えなくなったからといって、すぐに捨ててしまうのではなく、できる限り手を加えて再生し、また活かす。その繰り返しこそが、ものづくりや職人技が繋いできた日本の文化ではないでしょうか。


これからも、壊れた道具を修理して生かすことができるなら、手間を惜しまず向き合っていきたい。そんな気持ちを胸に、今日もまた、一つひとつ復興へ立ち上がります。

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